京都大学大学院工学研究科化学工学専攻

反応工学研究分野(3講座)

研究紹介Research

 当分野では,種々の反応プロセスのモデリングとプロセス開発,化学反応を利用した新規な機能性材料の製造に関する研究を展開しています。
現在実施しているテーマは以下の通りです。

研究概要図
[研究テーマ]
1. 電気化学プロセスの反応工学的モデリング
2. 機能性材料の開発と材料製造プロセスの開発
3. 新しい反応スキームによる重質炭素資源の高効率転換プロセスの開発
4. 選択的な水素化/脱水素反応のための炭素担持金属微粒子触媒の開発

1. 電気化学プロセスの反応工学的モデリング


 燃料電池などの電気化学反応への反応工学の拡張を目指して、固体高分子形燃料電池を反応器としてモデル化する研究などに取り組んでいます。
  1. 固体高分子形燃料電池(PEFC)の反応工学的モデリング
    PEFCを反応器として捉え、設計目的の数値シミュレーションを可能とする数学モデルを構築している。
    2022年3月31日にPEFCシステムのダイナミックシミュレーター FC-Dynamo を公開しました
  2. 有機電解合成プロセスの開発とモデリング
    水を還元する水素製造とアルコールなどを酸化する化成品合成をカソードとアノードで行う電気化学プロセスの開発を行っています。

2. 機能性材料の開発と材料製造プロセスの開発


 各種機能性材料の開発,材料製造プロセス自体の開発と反応モデリング、反応器モデリングに関する材料反応工学に取り組んでいます。

  1. プラズマCVD法(化学気相成長法)による窒化アルミニウム膜の製造とプロセスモデリング
  2. 各種炭化水素からの炭素生成機構の解析
  3. 太陽電池用ペロブスカイトCVDプロセスの開発

3. 新しい反応スキームによる重質炭素資源の高効率転換プロセスの開発


 石炭やバイオマスなどの炭素資源を効率よくエネルギー源や有用化学物質に転換する反応プロセス技術の開発は急務であり、新規な高効率転換法を提案し検証しています。

  1. 高温溶剤抽出による石炭のフラクショネーション
  2. 鉄鉱石還元反応機構の解明と炭材内装鉱の最適設計
  3. 炭素資源と無機物の液相酸化還元反応を用いる新規発電法の開発
    ハイドロケミカルルーピング法

4. 選択的な水素化/脱水素反応のための炭素担持金属微粒子触媒の開発


 バイオマス原料の有用化合物への転換や水素キャリアからの水素製造のためには水素化反応や脱水素反応を選択的に行う触媒が必要です。
そこで副反応の原因となる活性点を持たない炭素担体に触媒となる金属を微粒子状態で担持した炭素担持金属微粒子触媒を開発しています。

  1. 炭素担持Cu触媒を用いた糖ポリオール類の水素化/水素化脱酸素反応
  2. パラフィン脱水素用炭素担持Pt合金系触媒の開発