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粒子帯電制御研究会20132014年度活動報告

Activity Report of Research Group on Particle Charge Control, 2013-2014

 本研究会は,粒子の帯電に伴う諸現象および応用に関する情報を共有しながら,この領域の基盤を固めていくことを目的として2004年に設立された。この11年間で24回の講演会を開催し,参加者は延べ1114名を数えた。以下に,20132014年度の活動状況を記す。

 

2013年度,第1回(通算第21回)研究会は,522日(水),連合会館(東京)にて,粉体工学会春期研究発表会のシンポジウムとして開催された。主題は,「粒子帯電と静電気現象:キーファクターの制御に向けて」であり,静電気現象,帯電メカニズム,帯電粒子の産業への応用という幅広い観点から,各種制御を目指して研究報告が行われた。一般講演14件(研究報告11件,研究中間報告2件,技術資料報告1件),特別講演1件,依頼講演1件が企画され,参加者は70名であった。

 

特別講演「粒子の帯電とイメージングへの応用」

千葉大 名誉教授北村 孝司

依頼講演「一成分現像電子写真プロセスのトナー帯電における電荷緩和過程の影響」

(沖データ)小森 智裕

特別講演では,絶縁性液体あるいは空気中を帯電粒子が移動することにより文字や画像を表示させる電子ペーパーの表示特性が解説された。依頼講演では,トナーの帯電機構の中で,摩擦帯電時の放電による電荷緩和過程の意味が説明された。

 

2013年度,第2回(通算第22回)研究会は,85日(月),京都大学桂キャンパス・ローム記念館で,「粒子の付着,流動,帯電の特性評価と粒子操作」をテーマに2件の講演が行われた。また,京都大学粒子工学研究室(松坂研究室)の見学会(各種試験の実演)も開催された(参加者は30名)。

1.「粒子の付着,流動,帯電の特性評価と粒子操作」

(京都大)松坂 修二

2.「粉体特性評価装置」

(IMP)安田 正俊

講演1では,粉体ハンドリングに関係する主要な特性のデータ分布やプロファイルの意味が解説された。講演2では,実用的な粉体特性評価装置および関連する試験結果が紹介された。

 

2014年度,第1回(通算第23回)研究会は,317日(月),日本大学理工学部・駿河台校舎1号館で,「摩擦帯電に伴う放電および諸現象に関する最新情報」をテーマに3件の講演が行われた。また,高分子材料を中心として摩擦帯電に伴う放電および関連する現象について実験結果を含めた最新情報が紹介された。参加者は25名であった。

1.「金属板との接触分離における高分子フィルムの表面電位プロファイル」       (創価大)松山 達

2.「摩擦帯電とマイクロギャップ放電による緩和について」     (労働安全衛生総合研究所)三浦 崇

3.「高分子の摩擦帯電と摩擦発光に対する湿度の効果」

(千葉工業大)平塚 健一

 

2014年度,第2回(通算第24回)研究会は,730日(水),同志社大学・東京オフィスで,「粒子の静電付着力を解析してみよう」をテーマに4件の講演が行われた。クーロン力,電気影像力,グレーディエント力,配向力,数珠玉形成力の解説,SPMによる電位計測,電荷分布逆推定,3次元電界計算の連携による静電付着力の推定,帯電粒子群による空間電荷効果の影響,電界中で働くクーロン力と接触帯電を考慮した電気影像力の影響など,最新のトピックスが紹介された。参加者は45名であった。

1.「帯電粒子に作用する力」

(茨城大 名誉教授)竹内 学

2.SPM計測と電界シミュレーションによるトナー付着力の解明」        (リコー)門永 雅史

3.「静電気付着に於ける空間電荷効果の影響」

(創価大)松山 達

4.「電界中の接触帯電を考慮した静電付着力」

(京都大)松坂 修二

 

本研究会の予定と履歴は,次のサイトに掲載されている。

http://www.cheme.kyoto-u.ac.jp/9koza/G_electrostatics/default.html

(京都大学 松坂 修二)