2011年度第2回(通算第17回)粒子帯電制御研究会

講演会:「有機・高分子粉体の電子状態ならびに帯電機構の解明に向けて

    −計算,モデル,実験結果から分かること−」


本年度第2回(通算第17回)粒子帯電制御研究会を,以下のとおり開催いたします。
今回は,有機・高分子粉体の電子状態ならびに帯電機構の解明に向けて,分子軌道法による計算,摩擦による高分子鎖の切断に基づく帯電モデル,光電子分析等の結果から得られた知見を共有する場とします。
産官学から多数のご参加をお待ちしております。

■日時:2011 129日(金)13:1017:00

■場所:同志社大学/東京オフィス
      〒1000004 東京都千代田区大手町2丁目62号 日本ビルヂング5566
      TEL 03-3516-7577
      地図 http://www.doshisha.ac.jp/information/facility/tokyo_o/

■交通:JR「東京」駅八重洲北口又は新幹線日本橋口から徒歩5

■参加費:3000円(当日会場にて,ただし,大学および公立研究機関は1000円)

■講演会

1.    13:1014:10: 「高分子接触帯電の計算化学的アプローチ」
          (同志社大学 教授) 白川 善幸 氏

2.    14:1015:10: 「粉体の摩擦帯電機構−メカノアニオンからメカノラジカルへの電子移動反応−」
          (静岡県立大学 教授) 坂口 眞人氏 氏

3.    15:3016:30: 「光電子分析による有機材料の真因性・外因性電子準位の観測」
          (千葉大学 教授) 石井 久夫 氏

4.    16:3017:00: 総合討論

5.    17:0018:00: 交流会(事前申込みは無料)

【講演概要】

1.    「高分子接触帯電の計算化学的アプローチ」
金属-高分子、高分子-高分子間の接触帯電について電子移動を仮定した分子軌道法による計算について概説する。はじめに分子軌道を含めた電子状態計算法を紹介し、分子軌道でどのような情報が得られるのかについて初歩的なところから説明する。続いて、表面構造のモデル化について、いくつかの物質の表面構造を例示し、高分子表面モデルを説明する。最後に非経験的分子軌道法の一種である,DV-Xα法により計算した金属-金属間の電子移動結果を示し、高分子-金属間の電子移動、電子分布、状態密度計算の結果を紹介する。分子軌道では表面構造をどのようにモデル化するかによって結果は大きく変わる。講演では表面構造と電子状態変化について議論してみたい。

2.    「粉体の摩擦帯電機構−メカノアニオンからメカノラジカルへの電子移動反応−」
摩擦帯電は二物質間の摩擦により発生する静電気現象であることは広く知られている。摩擦界面では固体表面の高分子主鎖が不均一に切断し、マクロアニオン(メカノアニオン)が生成するとともに高分子鎖が均一に切断しフリーラジカル(メカノラジカル)が生成する。我々は、摩擦帯電は分子鎖の切断を伴う現象であり、摩擦界面でのメカノアニオンからメカノラジカルへの電子移動反応であるという仮説を提唱している。この仮説に従えば、メカノアニオンの収率は主鎖を構成している結合の電子的偏りに依存し、帯電符号はメカノラジカルの電子親和力から予測できる。即ち、化学構造から収率および符号が予測することができる。この仮説に基づきセルロースを含む有機高分子の粉体の帯電について報告する。

3.    「光電子分析による有機材料の真因性・外因性電子準位の観測」
接触帯電や有機エレクトロニクス素子の電気特性などの有機分子の電子的な挙動は、材料の本来の電子準位に加えて、バンドギャップ内準位やトラップ準位をはじめとする外因性の電子準位にも左右されていると考えられている。本講演では、我々が進めてきた光電子収量分光(PYS)、紫外光電子分光 (UPS)やケルビン法などの手法を用いた電子構造観測の結果を報告する。特に、(i) 通常のUPSでは試料帯電のために測定が難しかった有機単結晶のバンド分散測定、(ii) アン トラセン単結晶の表面の凸凹構造に起因して発生するバンドギャップ準位の観測、(iii) 最近注目されている液体有機半導体の電子構造観測などの話題について紹介したい。


■代表:松坂修二,副代表:松山達,幹事:白川善幸,綿野哲

■参加の申し込み(連絡先):松坂 e-mail: matsu@cheme.kyoto-u.ac.jp

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通算第17回粒子帯電制御研究会申し込み
1.お名前:
2.所属:
3.連絡用メールアドレス:(送信メールアドレスと異なる場合,あるいは複数名でのお申し込みの場合)
4.交流会 「出席・欠席」のいずれかを記入
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